どんどんマニアックになっていくこのバックカントリースノーモービル入門シリーズw
今回は上りの走り方についてです。
まずは直登と呼ばれる上り方。
斜面に対して真っ直ぐアプローチして、そのまま真っ直ぐ上りきることです。
ポイントはスピードですね。
と言うと、よくあるのが上り斜面に入ってから頑張ってスロットルを大きく開けてしまうパターン。
これだとモービルのバランスが崩れて(フロントが上りすぎてしまう)左右どちらかに曲がって行って結局登れない事になります。
▼こんな感じですww
この場合
スピード=スロットル開度ではありません。
[可能な限り長く助走をつけて、その慣性力を保ったまま上りきること]です。
なので、スロットルを大きく開けないといけないのは、上りに進入する前の平らなゾーン。
上りの最中には、そこでつけたスピードを維持するためのスロットルワークが必要です。
雪質が硬めでスピードにのっているのなら、スロットルは戻し気味でも登れてしまうかもしれません。
逆に雪がフカフカで、距離がある上りであれば、最初から最後までスロットルを全開のままって場面もあります。
わかりやすいのがこちらの動画
●1人目のライダー
最初のトライでは良い感じでアプローチしたんですが、途中の雪のボコボコでバランスを崩して失速したため、斜面のキツイところでスピードが足りずにフロントが浮いて登り切れませんでした。
2回目のトライもスピードに乗った良いアプローチでしたが、今度は上りのキツイ部分で少し横に傾いてしまったため、そこで一気にスピードが落ちて登れませんでした。
でもすごいのは、2回ともスピードが落ちた後の方向転換がめちゃくちゃスムーズで、完全にスピードが落ち切る前に向きを変えていることです。
このリカバリーが上手い人はスタックせずに何度もリトライできます。
●2人目のライダー
アプローチの途中で大きくフロントを上げてしまったため、そこで失速してその後の再加速が間に合わずに登り切れませんでした。
そして、こちらのライダーもリカバリーが上手いですねー
この2人はこれだけコントロールできていると、わざと登り切らずに楽しんでいるようにも見えますよね。
●そして最後のライダー
ものすごい勢いのアプローチで坂に突っ込んできて、そのままの勢いをキープしたまま上りきってますね。
この走りのすごいところは、細かいスロットルワークでフロントが浮きすぎないように抑えながらも、良いスピードをキープしているところです。
▲この写真はフロントが浮いた状態でも、前後左右のバランスが取れていて、このままの体制で真っ直ぐ登っているところです。
▲こちらは横方向にバランスが崩れたままで大きくスロットルを開けてしまったため、ライダーの意思とは違う方向にマシンが曲がっていってしまった瞬間ですね。
スロットルの開け方を一瞬緩めて、マシンのバランスが回復してから再び開けるようにすればリカバリーできたかもしれません。
スノーモービルの特性として知っておいてほしいのは[急加速や急減速する時にバランスが崩れやすい]ということです。
原理で説明すると
スノーモービルのトラックは長くて重いです。
そのトラック回転が急激に加速すると、その反動でスノーモービル自体がトラックの回転方向と反対へ回ろうとします。
(もし無重力状態で急にスロットル全開にしたら、モービルは連続バックフリップする)
つまり、急加速するとスノーモービルは勝手にウィリーしちゃうわけですね。
しかも雪の上だから、トラックは雪を後ろに蹴り出した分だけ下に潜っていきます。
上り坂なら余計にフロントが浮きやすくなるのは想像できるかと思います。
この原理で、スノーモービルはトラクション(雪の上でのグリップ力)を生み出しているんです。
急加速するとフロントが浮き上がる→
ハンドル操作がきかなくなる→
方向修正するにはマシンを傾けるしかない→
腰の位置や、ステップへの荷重で進む方向をコントロールしないといけない。
これは結構難易度高い動きなので、出来るだけフロント上げすぎないまま、ハンドル操作でコントロールできる範囲で上りたいわけです。
そうなるとやっぱり最初のスピードをキープして、上り最中に急な加速をしなければ、安定して直登できるということになりますね。
細かい説明で嫌になったかもしれませんがw、自身の経験と照らし合わせてもらうと分かる人にはわかるのかなと思います。
▲今回は直登を説明させていただきましたが、登った先に停車できる場所がない場合もあります。
引き返す場合は、登りのスピードが完全になくなる前にハンドルを切って方向転換しましょう。
スピードがなくなると、ターンできずに転倒か、スタックしちゃいますからね。
その他にも沢山のテクニックやコツがあるんですが、全部は書ききれないのでスキルアップ練習会に参加してもらった時に解説します!
5に続く