山でスノーモービルに乗っていて、1番怖いのが急斜面の下りです。
広くて見通しが良くて、下った先が緩やかであれば、全然怖くないんですが、
下りの途中に木があったり、下った先が見えないようなところは本当に怖いです。
怖いというのは、無事にクリアーできるかどうか分からないから、恐怖心が生まれるんだと思います。
先ず基本的に、スノーモービルはブレーキがあまり効かない乗り物です。
それを知ったうえで常に乗らないといけません。
なぜなら、例えばタイヤが付いた乗り物にはフロントブレーキとリアブレーキがあり、よく効くのはフロントブレーキです。
乗り物は減速時に必ずフロントに荷重がかかるため、路面との摩擦が強くなる前輪のブレーキが良く効くからです。
とろがスノーモービルのフロントはよく滑るスキーになっているのでブレーキ機能は無く、リアのトラックの回転にブレーキをかける仕組みになっています。
しかも、路面はほとんどグリップしない雪ですから、もともとブレーキが効くわけがないんですよね。
雪の上というのは、上り坂とか平らな場所であれば走行抵抗が大きいので、スロットルを離せばすぐにスピードが落ちますが、下りだけは別です。
スキーやスノーボードと同じで、重力に従ってどんどん加速していきます。
しかも200kg以上あるマシンは一旦スピードが出るとすぐには止まれません。
この事をよくわかったうえで下りを走るようにしましょう。
では下り走行のポイントは
・下り始めから下りきるまでの走行ラインを目視で確認する。確認できない場合は別のルートも考える。
・下りの進入スピードは出来るだけ遅く。
可能なら下り始めで一旦止まる。ゆっくり進入すればその分途中の加速を抑えられます。
もし、下りに対して真っ直ぐ進入できない場合はしっかりと体重移動してバランスを保ちながら進入する。
▼こんな感じの場所の話です
・エンジンブレーキと通常のブレーキの特性を理解して、トラックをフルロックさせないようにコントロールする。
トラックがロックした状態ではハンドルを切っても、車体は必ずフォールライン(今いる場所から地形が低くなっている方向)へ進んで行く。
ブレーキレバーでブレーキをかけて、一瞬でもトラックがロックすると、クラッチがドライブベルトをリリースしてしまうため、エンジンブレーキは解除される。
もう一度エンジンブレーキを効かせるには、スロットルを開けてクラッチインの回転数以上までエンジン回転を上げなければいけない。(だいたい4,000回転以上)
・フォールラインから外れて、行きたい方向へ進むにはトラックが回っていなければいけません。ブレーキをかけながらも、トラックをロックさせずに安全なラインを走行します。
・下りではフロントのスキーに荷重がかかっているため、上りの時よりもステアリング操作で向きを変えやすいです。
スノーモービルの特性を理解して、落ち着いて操作すれば大丈夫です。
・先が見えない場所では木に接触したり、フロントから雪に突き刺さったりするリスクがあるため、決して無理をしないで歩いて先の様子を見てから進むなど、確実にクリアーするように心がけてください。
▼こんな感じで斜度がキツイ下りだと先の様子が見えないです。
▼一旦止まって先の様子を確認してから下ります。
前走車がいる場合には、追突しないように車間距離を大きく開けましょう。
普通にブレーキをかけるだけでは、絶対に止まれないような場面はよくあります。
基本的には、途中で止まれないことが前提で安全な走行ラインを決めて進むわけなんですが、予定していたラインから外れてしまったり、突然倒木などの障害物が現れることもあります。
▲そんな時はわざと車体を横に倒して止まるというテクニックもあります。
この写真では、下りの途中に倒木があったので手前で車体を倒して止まり、ノコギリで倒木を除去したところです。
通常のブレーキングだけでは止まれない場面でした。
やり方は新雪を走る時に逆ハンドルを切ってターンをするのと同じやり方でキッカケを作り、ハンドルが雪面に着くくらい思いっきり真横になるまで傾けます。
そうするとスノーモービルは立っている状態よりも横倒しの状態の方が、雪面への摩擦抵抗が強いので止まれるという原理です。
この時の体の使い方や、他にも沢山のテクニックやコツがあります。
この冬はTKKYスキルアップ練習会に参加してみましょう!
6に続く