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2019.10.07

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バックカントリースノーモービル入門 6.1トラバースとマシンの進化

 

 

写真や動画で、雪山の斜面に対して横向きに走るシーンをよく見ると思います。

 

この走り方は、実は過去10年くらいの間に急激に広まった技術です。

 

その以前からもそういった乗り方を自在に操って、山を走り回っていたライダーはいましたが、それはとても難易度が高かったはず。

スノーモービル自体の性能が上がったことによって、誰でも車体をコントロールしやすくなり、山での走り方に革命が起きました。

 

 

 

 

この走り方ができるようになったことによって、マウンテンスノーモービルそのものの楽しみ方や行動範囲は大きく広がり、今まではたどり着けなかったようなエリアまで行けるようになってしまったのです。

 

 

 

 

今回はそんな革命的な進化を遂げたスノーモービルライディングの入り口をご紹介します。

 

 

まずスノーモービルはフロントに2本のスキーと、リアに一本のトラックで構成されています。

 

 

 

 

この構造で横方向の安定性を上げようとしたら

 

・スキースタンス(スキーとスキーの感覚)を広くする

・トラックの幅を広くする

・マシンの重心を下げる

 

こうすることでモービルは横に倒れにくくなるため、傾斜のゆるい斜面なら、横向きに進めるようになるはずです。

 

 

しかし、フロントのスキーの間隔を広く設定するのは簡単ですが、トラックの幅を広げるのは限界があります。

(通常のトラック幅は15インチか16インチ)

 

ski-dooのラインアップの中には、SWTスーパーワイドトラックという車種があって、そのトラック幅は24インチ(60cm)あります。

 

 

 

 

このモデルは幅広トラックの安定感を売りにしていてスキー場パトロールなどで活躍しています。

 

しかし、トラック自体が重すぎるため軽快な走りはできませんし、走行抵抗も大きいのでスピードも出ません。

 

結局はフロントだけが幅広くてもリアの幅は狭いため、雪山での急斜面を走る場合スノーモービルは横に倒れやすい乗り物なんです。

 

 

 

 

そんなスノーモービルにとって、斜面を横向きに進むことは難易度が高くて危険な走行ラインだとされてきました。

 

ところが近年のマウンテンスノーモービルの進化とライディングスキルの向上によって、2010年頃からマシン設計の考え方が全く逆になりました。

 

それは横向きの斜面に対して車体を山側に倒し込むことによって、斜面を走っているにもかかわらずスノーモービル自体は平らな場所を走っているかのようにフラットを保って進む走り方です。

 

 

 

 

これがやりやすくなったのは、ski-dooで言えばスキースタンス(左右のスキーとスキーの間隔)が狭くなって36インチのモデルが登場した2011年式のサミットXからでしたね。

 

それまでは40インチとか38インチの幅広いスタンスが標準でした。

 

そうです。

あえてマシンの幅を狭くすることによって、車体の傾きを楽にコントロールできるように設計の方向性が変わったんです。

 

その後に2013年にはTモーションと呼ばれるリアサスの軸が左右に傾く、革新的な機構のおかげでさらにマシンを傾けやすくなりました。

 

 

 

 

そして現行モデルであるREV-G4シャーシになったSUMMITサミットとFREERIDEフリーライドはさらに楽に横向き斜面でコントロールできるようになりました。

 

 

 

 

片側のスキーは完全に浮いてますが、車体はバッチリ安定しています。

このまま斜面で止まることもできるくらいです。

 

この走り方は日本のスノーモービルシーンでは[トラバース]と呼ばれています。

 

言葉を調べてみると、英語で縦走、横断の意味。

山では「斜面を横方向に横断すること」となっています。

まさにその通りですね。

 

海外だと[Sidehillサイドヒル]とも言います。

 

 

 

 

今やスノーモービルで山を走るには必ず必要になる技術。

 

ある意味これが普通の乗り方ということになります。

 

そしてこれができるようになると、走れるラインの幅が広がって楽しくて楽しくて仕方なくなります。

 

 

 

6.2に続く